強さの定義















 深夜の階段に、控えめな靴音が響く。
 オベルの巨大船、ブリュンヒルデ号の第五甲板へと続くこの通路を、スノウは一人、歩いていた。闇と静寂に支配された刻限、船内は穏やかな眠りに包まれている。極力物音を立てないようにと注意を払う彼の向かう先は―――訓練所であった。
 …………再会を果たし、共に行く道を選び―――そして久し振りに目にした彼の剣技は見違えるほどに鋭さを増していた。騎士団に居た頃の比ではない。あの頃、自分と彼の剣の腕に大して差はなかったはずだが(少なくともスノウはそう思っていた)今や速さにおいても太刀筋においても、自分は彼の足元にも及ばなかった。息もつかせぬ剣舞で相手を翻弄したかと思うと、次の瞬間には裂帛の気合と共に叩き伏せる。だが、どれほど激しく荒々しい剣戟を披露した後でも、彼は常に涼しい顔をして、悠々と此方を振り返ってみせるのだ。
 離れている間に開いてしまった絶対的な力の差異にスノウは愕然とした。それは単純に悔しいという言葉で片付けられるような感情などではなく、根本から―――自分自身の存在価値を真っ向から粉砕されたかのような衝撃すら覚え、スノウは碧い目の幼馴染みを、ただただ畏怖と憧憬の眼差しをもって見詰める事しか出来なかった。
 愚かな過ちを幾度も繰り返した自分を、それでも大切だと言って手を差し伸べてくれた少年が、出来れば自分には剣を握って欲しくないと思っていることは知っていた。自身の性質が、実は戦いには不向きなものであるということも、この船に乗ってから痛いほどに自覚させられた。
 彼はそれを優しさだと評してくれるけれど、つまるところ、自分は臆病者なのだ。それでも自分に許しをくれた彼の気持ちに報いたいとの思いから、スノウは状況が許す限り、志願して実戦に参加するようになった。漂流中に落ちた体力も大方回復し、剣を握る手の感覚も取り戻しはしたが、しかし眼前に突きつけられた彼との決定的な実力の差は、スノウの自尊心を徹底的に打ちのめした。
 ―――僕は君にとって必要のない存在になっていく――――。
 こう弱音を吐けば、彼はきっと少し困ったような微笑を浮かべながら、そんなことはないよ、と、慰めてくれるのだろう。望む言葉を彼の口から引き出して楽になるのは簡単だった。だが、それでは本当の意味で許されたことになどなりはしない。身のほど知らずと誹られようとも、自分を深淵より救い上げてくれた彼のことを考えれば、けして越えられぬ壁ではないと思った。これまでの自分の行いを知る者から見れば、それは滑稽な偽善でしかないのかもしれなかったが、自分の本当の気持ちを、カルマは正しく理解してくれている。彼がわかってくれているのならば、怖いものなど何一つなかった。あの傷付けあった日々と、その果てに辿り着いた奇跡を無駄にしない為にも、スノウは今、胸を張ってカルマの隣に立てる自分になりたかった。
 僕は弱い。弱いからこそ―――強くなる為に努力しよう。少しでも君の助けになれるように―――。
 騎士団にいた頃は夜間や早朝の自主稽古などとは無縁であったスノウだが、今は形振り構っていられる場合ではない。遥か前を走り続ける彼の背中に少しでも早く追いつくためには、地道に努力を積み重ねていくしかないのである。深夜の訓練所に足を運んだのもそういう理由からだった。
 だが、無人のはずの部屋の扉から、微かに明かりが漏れている。
 ―――誰かいるのか?こんな時間に、僕の他にも―――?
 スノウは怪訝に思い、扉を僅かに押し開くと、隙間から中を覗き込んだ。
 そこにいたのは………青い外套を纏った小柄な少年。
 明るい金茶色の髪と、手にした弓矢に覚えがあった。確か名前は―――テッド。
 カルマに連れられて参加した戦闘で、彼の戦いぶりは目にしたことがある。集団で現れ、此方に体当たりを仕掛けようと飛び回る赤エイどもを、たった一人で次々と射落としてしまう様は壮観を通り越して空恐ろしいほどだった。あんな小さな身体の一体どこにあれほどの力があるのか―――と、驚愕すると同時に、至らぬ我が身を省みて、触れることすら叶わぬ天の高みを思うような気持ちで嘆息したのはつい先日の話だ。
 テッドは弓に矢を番え、慎重に狙いを定めている。的は彼の遥か前方に据えられており、既に何本もの矢が突き立っている。その殆どは見事なまでに中央付近に突き刺さっており、彼の弓の精度の高さを示していた。弦を引く手に力が篭り、ひょう、と放たれた矢は、やはり寸分違わず的の中央に命中する。だが、それで終わりではなかった。テッドは澱みない動作で背中に携えた矢筒から二本三本と矢を取り出すと、息つく間もなく連続して的に撃ち込んだ。
 彼の指を離れた矢は、全てが流れるような軌跡を描いて、まるで意志を持ったものであるかのように次々と的の中へと吸い込まれていく。
 実際に目にしたのでもなければとても信じることの出来ない早撃ちに、スノウは思わず息を呑む。あれほどの遣い手となるまでに、彼が一体どれほどの鍛錬を積み重ねてきたのか、想像すらつかない。
「そこで覗いてるヤツ。いい加減に出てきたらどうだ?」
 テッドが突然発した声に、スノウは飛び上がらんばかりに驚いた。テッドの目はまだ的に向かったままである。弓を構える姿勢も崩されてはいない。集中を途切れさせることなく、しかしそれでも彼は隠れた所にいたスノウの気配を見逃さなかった。その恐るべき勘は天性のものか、それとも戦いの中に身を置くうちに培われたのか…。観念してスノウは扉を開けると訓練所の中へと足を踏み入れた。テッドはようやく弓を下ろし、琥珀色の鋭い眼差しをスノウに向ける。まるで値踏みされているかのような視線にスノウは面差しを固くした。
「何しに来た?」
「何って……」
 ぶっきらぼうな声で発せられた問いに、スノウは些か面食らう。訓練所に来る目的なんて一つに決まっているじゃないか。そう言おうとしたが声にならなかった。代わりに出た言葉は―――素朴な疑問。
「君こそ、こんな時間に弓の練習なんてしてるのかい?それほどの腕があれば、そんな必要ないんじゃないかと思うけど…」
 問われたテッドは不機嫌そうな表情を崩さない。
「動かない的に当てるくらい、大したことでも何でもない」
「でも君は―――」
 動き回る標的だって、あんなに易々と射抜いて見せたじゃないか。スノウの脳裏に先日の戦いの光景がありありと浮かんできた。船の進路を遮るように突然現れた怪物の群れを、この少年は激しい矢の驟雨を以って、たった一人で撃退してみせたのである。自分はおろか、軍主の出る幕すらまったくない程の妙技に、スノウはただ圧倒され、言葉さえも出なかった。
 だがテッドは呆れたように首を振る。
「どんなに切れ味の良い剣だって、手入れしなければ錆びる。戦場で生きる身ならば当たり前のことだろう」
 正論だ。スノウは何も言い返せずに黙り込む。テッドは馬鹿にしたように、ふんと鼻を鳴らした。
「とんだ茶番だな。戦う覚悟のないものに剣を手にする資格はない。さっさと部屋に戻って寝ろ」
 これには流石にスノウもむっときて、テッドを睨みつける。
「覚悟なんて疾うの昔に出来ている。騎士になろうと決めたその日からだ」
「その割りには守られることに慣れきった深窓のボンボンの面構えだな。そんな顔して、まさか此処で剣の稽古をしたいだなんて言い出すんじゃないだろうな?」
「当たり前だ!!僕はその為に此処に来たんだ。少しでも強くなる為に―――!!」
「ふーん………」
 腕を組み、横柄な態度でスノウに視線をくれていたテッドの顔が、不意に剣呑な笑みの形に歪んだ。
「なら、その覚悟とやらがどの程度のものか見せて貰おうか」
「え?」
「稽古の相手してやるって言ってんだよ。願ったり叶ったりだろ?」
 思い掛けない突然の申し出に、スノウは驚いて目を白黒させた。
「でも剣と弓とじゃ端から稽古にならないと思うけど…」
「エモノが同じなら問題ないだろ?」
 テッドは事も無げに言うと、壁に立てかけてあった二振りの木刀を手に取った。片方をスノウに投げて寄越す。
 真剣で遣り合う訳ではないと知って安堵したものの、やはりどうにも釈然としない。そもそも弓を自身の武器と定めているからには、彼はけして剣が得手という訳ではない筈だ。対してこちらはまだまだ力不足とは言え騎士団にいた頃に剣の基礎はみっちり叩き込まれている。どう考えても圧倒的にこちらのほうが有利だ。教えられた基本のとおりに剣を構える自分に対峙するテッドの構えは、やはり型も何もあったものではない、まったくの我流。
 心に些かの躊躇いを感じながらも、スノウは床を蹴った。跳躍し、一気に間合いを詰める。横凪ぎの一閃を、しかしテッドはたじろぐことなく木刀で弾き返した。間髪いれずに繰り出してきたテッドの突きを今度はスノウが受け止める。二度三度と打ち合いを繰り返すうちに、スノウの心には明らかな動揺が芽生えていた。強い。しかも相当に。
 型に嵌まらない太刀筋は、それ故に読みづらく、時折思い掛けない方向から飛んでくる一撃に、一瞬たりとも気が抜けない。こちらが渾身の力を込めて振るった攻撃も、ギリギリのところで全てかわされる。スノウの首筋を、激しい動きによるものだけでない汗が伝った。
 幾度めかの打ち合いに、体格で劣るテッドがとうとうバランスを崩す。好機―――とばかりにスノウが高々と剣を振り上げたその刹那―――テッドの身体が旋廻する。次の瞬間、脛に強烈な回し蹴りを喰らって、スノウは堪えきれずによろめいた。体勢を立て直す間もなく、次いで手首に鋭く手刀を叩き込まれる。木刀がすっぽ抜け、乾いた音を立てて床に転がった。その行方を目で追うより早く、テッドの木刀が喉元に突きつけられる。
 唐突に訪れた呆気ない幕切れにスノウは暫し呆然としたが、やがて胸中に怒りが沸々と込み上げてきた。
「ず、ずるいじゃないか!!足を使うなんて!!」
「ずるい?」
 テッドは軽蔑を含んだ眼差しでスノウを見遣った。手にした木刀の切っ先を敗者の喉元にぐいと押し当てる。
「じゃあおまえは戦場に出てもそう言うのか。命を賭けた戦いの場で。殺し合いをする相手に卑怯な 手を使ってまで生き延びるなと、おまえはそう言うのか?」
「そ、それは……」
「これは戦争だ。綺麗事は通用しない。俺達がやっているのは、そういうことだ」
 侮蔑の感情も露にそう告げると、テッドは木刀を投げ捨てる。緊張の糸がふっつりと切れたかのようにその場に蹲ったスノウを、テッドは冷たい視線で見下ろした。
「おまえ、人を殺したことがないだろう」
「!!」
 スノウは弾かれたように顔を上げる。いとも容易く見抜かれたことに対する驚きを隠し切れず、青灰色の瞳はおどおどと宙を彷徨った。
 確かに志願して実戦の場に出して貰ってはいたものの、対峙する相手は海上で出会う怪物に限られており、未だ人同士の戦いの場は経験したことがない。異形のものが相手ならば自衛の為と割り切って振り下ろせる剣も、自分と同じ人間に対して果たして同じように振るえるのかどうか―――実は今までスノウは考えたこともなかった。否、意識して考えないようにしていたと言ったほうが正しいかもしれない。
 己の手を血で穢すこと。それは剣を手にすることを選んだものであるならば、どうしようもなく必然である。だが、自らの手によって、見知らぬ誰かの人生に終止符を打つなどという行為は、スノウの想像の範疇を越えていた。
 飛び散る血と踏み砕かれる骸。死んでいった者達の怨嗟の声。栄光に彩られた騎士団の、それは紛れもなく避けられぬ業。
 知っていた。だが、忘れていた―――冷たい素顔を隠した仮面の華々しさに目を奪われて。
 剣を手にすることの本当の意味も、その重さも、顔を背け続けることで誤魔化してきた。
 強さとは、ただ剣の腕を磨くだけではない。奪った命をこの身に背負う覚悟をすることだ。
「生きるか死ぬか。戦場に立ったらそれが全てだ。形のない悪意、謂れのない殺意の蔓延するこの世界で、道理や理屈なんてものは何の意味も持たない。血に穢れる覚悟がないのなら、剣を捨てたほうがいい。そんなヤツに誰かを守ることなんて、出来はしない」
 冷たい声で言い放つと、テッドは踵を返し、足音高くこの部屋より出て行った。悔しさと自身に対する憤りで滲む目元を乱暴に拭い、スノウは握った拳を床に叩きつけた。
 ―――馬鹿だ……僕は馬鹿だ―――!!
 ―――君を守ると誓ったのに、自分の手を穢す勇気すらない臆病者だ―――!!
 戦う覚悟のないものに剣を手にする資格はない―――彼の言葉が、耳の奥で幾度も木霊した。




 眼前に迫り来る白刃は、しかし胸元には届かなかった。
 苦悶に歪められた兵士の顔が、いかつい手にしかと握られた短刀が、そしてその胸板を貫いた剣の切っ先が―――まるで悪夢のようにカルマの視界に飛び込んでくる。
 あと一歩遅かったら、刃の餌食になっていたのは自分のほうだっただろう。捨て身の特攻を仕掛けてきたクールーク兵を、背後から一息に刺し貫いたのは―――スノウだった。


 それはナ・ナルの市に行った帰りのこと。一行は海岸近くで、待ち伏せていたクールーク兵の集団に襲われたのだ。
 久し振りの陸に、戦闘が目的ではないからとの理由で、カルマはスノウを伴ってきていた。連れは他にシグルドとマキシン。いずれ劣らぬ手練れではあるが、戦闘経験の浅いスノウがいるために、自然、陣形は彼を庇う形のものとなる。
 僅かに出来た隙を数の多さに任せて執拗に攻められ、次第にカルマは孤立無援の状態に追い込まれた。それでもカルマは怯む事なく果敢に双剣を振るって、群がってくる兵士達を次々と倒していく。だが、既に倒したと思っていた兵士が不意に起き上がり、短刀を構えて突っ込んできたのである。たった今まで斬り結んでいた他の兵士の身体が死角となり、カルマは突如として現れた殺意に対する反応が遅れた。死への誘いは刃の形を以って、既に目の前に迫っている。シグルドの飛刀も、マキシンの魔法も間に合わない―――それは一瞬の出来事だった―――。
 剣を兵士の身体に突き立てたまま、スノウは呆然としている。今し方己がとった行動と、眼前に広がる光景が信じられないといった瞳をして。貫かれた兵士は断末魔の苦しみに身体を震わせている。その胸元から飛び出た切っ先は赤黒い血に染まっていた。
 強張ったスノウの指先から、剣が離れる。支えを失った兵士の身体は前のめりに倒れ―――動かなくなった。
 スノウはがくんとその場に膝をついた。その顔面は蒼白で、全身には冷たい汗が滲んでいる。はぁはぁと肩で荒く息をつき、肉を断つ鈍い手応えの残る掌で、己の身体を抱き締めるように蹲った。
「スノウ!!」
 カルマはスノウに駆け寄り、焦点の合わない青灰色の瞳を覗き込んだ。震えの止まらない身体を何とかして落ち着かせようと、カルマは両手でスノウの肩を掴んで揺さぶった。
「スノウ、スノウ!!しっかりして!!」
「カルマ!!大丈夫!!?」
 サポートメンバーのバジルが此方に駆け寄って来るのが見えた。顔を上げ、バジルに向かって力強く頷いて見せながらも、カルマはスノウの肩を掴んだままの手を離さなかった。
ようやく残りの兵士を片付けたシグルドが戻ってくる。マキシンもどうやら無事のようだ。青ざめた顔で震えているスノウを目にして、二人は何か言いたそうな表情をしたが―――結局、何も言葉にはしなかった。
「すぐに船に戻ろう、カルマ」
 心配そうな顔で此方を覗き込んでくるバジルに瞬きの手鏡を手渡すと、カルマはスノウの脇の下に手を入れて彼の身体を支えた。
「スノウ、立てる?」
 スノウの喉からはひと言の声も漏れてこない。それでもカルマに身体を預けるようにしながら、スノウは立ち上がった。その冷たく強張った手を力付けるように握り締めてやりながら、カルマは胸のうちに怒りの炎が猛るのをはっきりと自覚していた。他の誰でもない、自分自身に対しての憤りが。
 ―――何故、連れて行った―――!!?
 ナ・ナルにクールークの残党が潜んでいる事実を知りながら、何故自分は彼を此処へ連れて来てしまったのだろう―――?彼が自分の力になりたいと心を砕いてくれていることは知っていた。その優しさを嬉しく感じながらも、彼の心の脆弱さを思えば、カルマはやはりスノウを戦場へと連れて行きたくはなかった。正義と解放の名のもとに行われようとも、自分達のしていることは戦争…人殺しである。一度戦いの場に出れば、生き残る為には他者を殺めるしか道はない。気の弱い彼が、奪った命の重みに耐えていけるとは思えなかった。
 それでも―――何の力にもなれないかもしれないけど、それでも君を守りたいんだ―――そう言って微笑んだスノウの気持ちが嬉しくて、カルマは躊躇いながらも彼に剣を握らせてしまったのである。異形のもの相手の戦いではスノウの剣の腕が鈍ることはなかったから、いつしかカルマの中には油断にも似た感情が生まれていた。敵兵の潜んでいる地にさえ連れて行かなければ良い―――楽観的に構えるあまり、カルマは自分が狙われている存在であることを失念していたのだ。左手の力は持ち主の意思に関わらず、時として他者の悪意を呼ぶ。それを忘れていた。
 出来ることなら彼には一生、人の命の重さなど知って欲しくはなかった。流れる血にその手を染めることもなく、死者達の怨みの声に心を蝕まれることもなく…綺麗なままで、幸せになって欲しかった。
 ―――僕はまた、取り返しのつかない過ちを犯してしまったのか―――?
 焦燥と絶望が音もなく圧し掛かってくる。どれほどに剣の腕を上げたとて、大切な人ひとり守れないで何が軍主だ!!自らの無力さ、己自身の不甲斐なさにギリッと奥歯を噛み締めたときだ―――握られるままだったスノウの手にふっと力が篭ったのは。
「カルマ………」
 掠れる声でスノウは呟き、震える指で、それでもカルマの手を懸命に握り返してくる。
「………カルマ…僕も戦うから………。もう…絶対に逃げたりしないから………」
 虚ろだった青灰色の瞳に、仄かに決意の灯が燈る。うわ言のように繰り返される言葉にそれでも精一杯に込められた覚悟を感じ取って、カルマは目を瞠った。
 彼も戦っているのだ。自分自身と。
 ―――僕の知らない間に、君はちゃんと強くなっていた―――
 胸に込み上げてくる熱いものを堪えて、カルマはスノウを支える腕に力を篭めると、勇気づけるかのように、うん、うん、と頷いた。


 生き残る為、強くならざるを得なかった、琥珀の瞳の少年の面影が脳裏を掠める。
 残酷な現実を容赦なく口にしたのは……きっと、彼なりの優しさ。
 強くなろう―――強くあろう―――もう二度と後悔したくないから。
 僕は僕の意志で―――――今、剣を取る。
















ううううう動きのある文章が書けないーーーー(嘆)

某所で行われている宿星救済企画(ある特定の宿星を作品の中に登場させる)に参加したくて
足りない脳みそをフル稼働させて頑張ってみました。
が、一番書きたかったのは前半のテッドvsスノウだったり(笑)





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