―――憩いの場所―――




 夕食の後の時間を思い思いに過ごすべく席を立つ仲間たちを、行ってらっしゃいと見送って、残されたスノウとカルマはふたり、焚き火の傍らでゆったりと寛いでいた。
「今夜は星が綺麗だね。でも明日は雨が降るだろうってニコが言ってたよ。どうしてわかるんだろうね。そう言えばケネスも天候を読むのが巧かったけど、やっぱりコツみたいなものがあるのかな?…カルマ?」
 問い掛けに、当然返ってくるだろうと思われた返事はなかった。おや?…と、スノウが視線を上げると、隣に座っていたカルマは、火掻きの棒を手にしたまま、うつらうつらと舟を漕いでいた。
「今朝も早かったみたいだからな…疲れたのかな?」
 抱えて船に連れて帰ろうかとも思ったが、焚き火の傍を長く離れる訳にもいかない。かといって、起こすのも忍びない。せめて何か羽織るものを…と、風除けに持ってきていた毛布を掛けてやろうとした途端、カルマの身体がぐらりと傾いた。
「…と!危ない…」
 抱きとめた衝撃にも、カルマは目覚めない。スノウの胸にこてんと頭をつけた格好で、子供のようなあどけない表情で、すやすやと軽い寝息を立てている。
 何となく嬉しいような、微笑ましいような気持ちになって、スノウは小さく吐息をつき、カルマのさらりとした髪をそっと撫でた。
 仕方ない。このまま寝かせておいてやろう。
 足元に落としてしまった毛布を拾い上げようと、そろそろと指を伸ばした、その時。
「――――」
 弛緩していた身体に、出し抜けに力が戻る。起きた、とスノウが気付くよりも早く、腕の中から温もりが放れて行った。今の今まで眠っていたとは到底思えないような何食わぬ表情で、カルマが足元の毛布を拾い上げた時、背後から声が掛かった。
「おーいカルマ、ちょっと来てくれ!」
 駆け寄ってきたのはタルだった。カルマは彼の気配を感じて目を覚ましたのだと、漸くスノウも気付く。
「散歩してたら、向こうの崖下に横穴を見つけてさ。奥に宝箱みたいなものが見えたんだけど、穴が小さくて俺じゃ入れねーんだ。おまえの体格なら多分入れるだろうから、悪ぃけどちょっと見てくれねえか?」
「わかった。行くよタル」
 タルの後を追おうとしたカルマは、去り際にスノウの耳元に唇を寄せた。
「………スノウ、ごめんね―――ありがとう」
 僅かに照れを含んだ微笑みを残し、カルマは素早く身を翻らせる。
 駆けて行く背中を見送りながら、先ほどの寝顔と温もりが思い出されて、スノウは我知らず赤くなった。
 ―――タルの奴、覚えてろよ。
 溜息の代わりに口をついて出たのは、そんな呟き。
















無人島(?)でキャンプごっこ。
無理のある設定なのはわかってるけど、焚き火の傍っていうシチュエーションが書きたかったんだよ…!!
君ならわかってくれるよね…!!(←誰に言ってる?)
4主は人前で寝たりすることは絶対ないんですが、スノウの前でだけは素直に寝られる人だと良いと思いますv





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